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携帯電話と解約料〜解約料条項の抱える問題とは? [消費者問題]

 携帯電話契約のプランを決めるとき、店員からこんな説明を受けた経験
 はありませんか?
  
 「もし解約するときは契約期間が満了した翌月の更新月、ひと月の間にし
 てください。これ以外の時に解約すれば解約料がかかりますから。」
  
  これはいわゆる「2年縛り」というもので、携帯会社が設定した契約期
 間は必ず利用することを前提にして、携帯電話料金を割引きするプランで
 す(この契約期間の設定を2年にしているケースが多いので、「2年縛り」
 と呼ばれているようです)。
  契約期間経過後はまた新たに2年単位での契約が自動更新されます。
 解約したい場合は、更新月(契約期間満了の翌月)中に行わなければ、解
 約料を取られてしまいます。
  
  この手法は大手の携帯会社でも採用され、「基本使用料は半額だが、中
 途解約には9,975円の解約料が発生する」というかたちで大半のユーザー
 が利用する主要プランに組み込まれています。
  2010年?2011年には、この現状を疑問視した京都の消費者団体が「中途
 解約時に解約料の支払いを求める条項は消費者契約法違反にあたる」とし
 て、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクを相手にそれぞれ解約料条項の差し
 止め請求訴訟を起こしました。
  
 消費者団体が問題点として挙げたのは以下の4つ。
  
 (1)せっかくナンバーポータビリティ制度があっても、消費者が自由に
    携帯電話会社を選べない。
  
 (2)契約者がごく短期間でこの契約を解約したときは、
    半額基本料×契約期間<9,975円
    となり、携帯会社の受ける損失と利益が釣り合わない。
  
  (3)2年ごとに1か月だけしか無料解約のチャンスがなく、不当に契約
     に拘束される。
  
  (4)各携帯会社の契約者はほとんどこの2年縛りの基本料金半額プラン
     で契約しているのだから、各社の見込んでいる収益はもともと基
     本料金の半額。
     サービスで基本料金値下げしているというよりも、長期の囲い込
     みを目的にしたもので、さらに不当性は高い。
  
 (2)と(3)は「平均的損害を超える違約金を定めた条項は無効」とする
 消費者契約法9条1項に、(1)と(3)は「消費者の利益を一方的・不当に
 阻害するものは無効」とする同法10条に違反しているという主張です。
  
 これに対し、先日、上記訴訟のうちNTTドコモを被告とした訴訟の判決が
 下されました(京都地裁2012年3月28日判決)。
 結論としては、請求はいずれも棄却され、消費者団体側の主張は退けられ
 ました。

京都地裁は、どうしてこのような結論に至ったのでしょうか?
  
 前回も触れたとおり、解約料条項が違反するとされた法律は、主に
 
 I「平均的損害を超える違約金を定めてはいけない」とする消費者契約法9条
  1項

 II「消費者の利益を一方的・不当に阻害してはいけない」とする同法10条
 
 の2つです。
  
 Iを考える上でのポイントは、「平均的損害」とは何かということです。
  
  消費者団体は解約料条項を「短期間で契約解除した場合、顧客側の支払う
 9,975円が携帯会社の損失を大きく上回る」などと批判していました。
  「平均的損害」は個々の顧客の事情を考慮して導かれるべきであるとこ
 ろ、解約料条項はその視点が抜けているというのです。
  
  しかし、地裁は、「平均的損害」を導く際、このように顧客各人の事情
 を考える必要はないとしました。
 地裁によれば、「平均的損害」は、携帯会社と顧客全体が結んだ多数の契
 約に関して
  
 携帯会社が被った損害額 ⇔ 顧客の負担すべき額(携帯会社が損害賠償を
 請求できる額)
  
 を揃え、顧客の負担が不当に膨らまぬよう歯止めをかけるためのものとい
 うざっくりとした認識です。
 そのため、「携帯会社の損害」と「顧客の負担」は顧客ごとの細分化され
 た額ではなく、それぞれひとかたまりの総額・総和で考えればよいとしま
 した。
  
  そして、たとえ携帯会社の損害が「平均的損害」を上回っていても、顧
 客に対し「平均的損害」以上の額を請求することはできないのですから、
 反対に携帯会社の損害が「平均的損害」を下回っている場合も顧客側は
 「平均的損害」額の支払を甘受すべきとの見解を示しています。
  
  次に、IIで大切なのは、本当に顧客側は一方的・不当に利益を害されて
 いるのか?ということです。
 これについて地裁は、本来、顧客は標準の基本使用料金を支払うべきとこ
 ろを、2年縛りの条項によって割引を受けているので、顧客が解約料を支払
 う理由はあるとしました。
  また、解約までの2年が不当に長いかについては、中途解約をする人の平
 均経過月数が14か月である点を受け、14か月あれば解約権の制限に見合っ
 た対価、つまり9,975円以上の利益を受けたといえるため、制限期間が不当
 に長いともいえないとしています。
  さらに、2年縛りの含まれるプランについては、「ひとりでも割」など、
 プラン名に「割引」を示す「割」の文字を入れているうえ、パンフレット
 などで解約料発生の条件等についての記載を徹底するなど、解約料条項の
 説明を十分に行っていることから、携帯会社と顧客との間に一方的な情報
 量等の差は認められないとも述べています。
  
 以上の理由から、京都地裁は契約料条項を適法と認めたものと思われます。
  
 今年の5月30日にも、高松地裁で解約料の返還を求めた裁判の判決があり、
 やはり原告の請求が棄却されました。
 どちらの判決もまだ地裁段階なので何とも言えませんが、解約料条項は今
 後もしばらく続きそうです。


タグ:携帯電話
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